てんかん治療に習熟した医師が2年間治療してもおさまらないてんかん(お子さんの場合では1年の場合も)を難治性てんかんと呼び、この場合、抗てんかん薬の変更や追加などの通常のてんかん診療に加えて、てんかんの精密検査や、てんかん外科(手術)も含めた治療法の再検討が必要となってきます。
ここではそれぞれ3つについて、患者さん家族からのよくある質問とそれに対する回答をご覧いただけます。
3つの主な治療方法
内科的治療
内服薬の種類や量を調整します
食事療法(ケトン食)
一部のてんかんで有効です。入院の上開始し、栄養士さんと相談しながら継続します。
砂糖・米・パン・パスタを制限し、卵・油・マヨネーズを上手に使います。
外科的治療
2〜3種類の適切な抗てんかん薬を使用しても発作が1年以上抑制されない場合、てんかん外科(手術)という選択肢もあります。
3歳男の子。生後3カ月から難治てんかんと診断。AT治療経験。現在薬4種類。毎日2,3回の発作あり。発語、笑み、座りなし。直る見込みはないでしょうか?
3か月でてんかんを発症され、いろいろな治療を試みてこられたのですね。「いろいろな治療をしても、てんかんがよくならないときに考えること(以下)」が参考になるかもしれません。
1. 手術でよくなる可能性はないですか?
脳の広い範囲に病変がある場合でも、てんかん外科手術の可能性を諦めず、常に選択肢には入れておきましょう。てんかん外科手術後に発作が和らいだり、認知面が上がったりすることもあります。てんかん外科手術前に効果がなかった薬でも、手術後に効果がでる場合もあり再チャレンジができます。また、脳に病変が見つかっていないてんかん患者さんの中には、時期をあけて検査を実施することでてんかん焦点が絞れ、手術が適応になる病変が明らかになるかもしれません。これはMRIや脳波は年齢で変化するためで、特に乳幼児期は変化が大きいです。
2. 薬の種類が増えてきたら(同時に4種類以上など)・・・
薬の種類が多くなると、薬同士の相互作用などで、それぞれの薬が期待されている効果が発揮できないことがあります。同時に内服する薬が多くなってきたときには、薬を整理(効果が少ない薬や副作用で困っている薬などからの減薬など)することも大切です。一方で、薬の組み合わせによっては効果が増強することもあります。
3. ”薬”でてんかん発作が「一時的」に減りました(なりました)という”薬”なら・・・
抗てんかん薬は、内服し始めたときは非常に有効であったものの、その後内服を続けていてもある時期から効果が得られないことがあります。いろいろなメカニズムが考えられます。「一時的」にしか効果がなかった薬を続けて、次の薬を足していくと、どんどん薬の種類が増えていってしまいます。そのような場合は、薬の減量・中止を検討するのも大切で、副作用(眠気など)が軽減できるかもしれません。減薬して、発作が減少することも、「時に」経験されます。