
発作がなかなかコントロールできない時の内科的治療にはどんなものがありますか?

長期に経過してきた際の内科的治療には「今ある内服薬の調整」が主となります。

発作がなかなかコントロールできない時の「内服薬の整理」について教えて下さい

てんかんでは1つの内服薬で発作が十分に予防できなければお薬を追加し、2〜3種類を組み合わせて治療することもありますが、薬の種類が多くなると(4種類以上など)、薬同士の相互作用などで、それぞれの薬が期待されている効果が発揮できないことがあります。
同時に内服する薬が多くなってきたときには、薬を整理(効果が少ない薬や副作用で困っている薬などからの減薬など)することも大切です。
2〜3種類以上の適切な抗てんかん薬を使用しても発作が1年以上抑制されない場合は、「難治てんかん」としててんかん外科(手術)を考えることもあります。
一方で、てんかんのタイプや年齢によっては、内服で2〜3年程度発作が完全に抑えられ、脳波も改善していれば、徐々に減量して中止することも検討します。

以前の発作に比べると発作の時間は短くなったものの発作時の声が「ん゛ー」のような感じだったものが「あ゛ー」のような感じのものに変わりました。 これは薬の量がまだ足りていないのでしょうか?
2021年12月 発作(体を突っ張るような)を発症して、2022年1月 小児てんかんを専門とする病院の診療を開始しました。 投薬で発作をコントロールできていましたが、2023年1月から同様の発作が再発しました。

てんかん発作が発症して1年以上経過していて、薬はビムパット(成分はラコサミド)を服用しているのですね。発作が再発しているものの、時間が短くなり、変化がみられるようですね。発作に対する効果を期待して、副作用に注意して量を増やしていきますが、薬ごとに決められた服用量があります。薬によっては血液検査で血中濃度を見ることがあります。ビムパットの場合は血中濃度の測定が絶対必要というわけではありませんが、参考になることもあります。乳幼児の場合は体重が1kg増えれば、血中濃度が変わることもありますが、成人期になればそこまで変わらないことが多いと思われます。

前頭葉てんかんで投薬治療してますが、なかなか夜間の発作が止まらないですが、薬では発作を止めるのは難しいのでしょうか?

夜間の前頭葉てんかん、睡眠中の発作は日中の眠気や日常生活に影響するため心配ですね。一般的に60-70%の発作は抗てんかん薬で止まるとされていますが、一つのお薬を十分量上げた上でも発作が続くようであれば次のお薬を追加、変更されることが重要と考えます。また原因として皮質異形成(脳のしわが生まれつきうまく作れていない状態)や腫瘍などの原因がある場合には積極的にてんかん外科を考えることも重要です。

若年性ミオクロニーてんかんです。 イーケプラ125を1日3回 朝昼夕飲んでいましたが発作が酷いため 250を1日3回になりまだ2日目ですが、昨日足の発作がありました。 イーケプラは、飲み続けて発作が減るものなのですか?

若年ミオクロニーてんかんと診断されていて、イーケプラ(成分はレベチラセタム)を内服しているということですね。具体的なてんかんの種類の診断をしてもらっているようなので、適切な薬の選択がしやすい状況と考えられます。てんかん診療ガイドライン2018では第6章にてんかん症候群別の治療ガイドの記載があり、若年ミオクロニーてんかんの治療指針が記載されています。第1選択はバルプロ酸ですが、妊娠可能女性では他の薬剤を優先すべきとの記載があります。そのため、現在内服されている、イーケプラ(レベチラセタム)やラモトリギン、ゾニサミド、トピラマートが第2選択薬となっております。服用は少量で有効であればそれ以上増量する必要がないですが、効果がなければ規定量までは増量してもよいと思います。総合的な判断になるため、主治医の先生と情報共有する必要があります。

薬を飲む時間って決めた方がいいですか?

毎日忘れず服薬している限り、内服時間が多少前後しても大事に至らないことが多いと考えます。ただし、毎日忘れずに飲むためには、服薬するタイミングを決めておく方がよいでしょう。

薬を4種飲んでいますが、4歳の体に負担がないかとても心配です。それぞれの量は体重相当の量より少なめではありますが、種類が多くトータルではかなり多めになっていると思います。

適切な抗てんかん発作薬を十分な血中濃度で2剤試みても一定期間発作を抑制できないものを、「薬剤抵抗性てんかん」といいます。抗てんかん発作薬は、できるだけ少ない量、できるだけ少ない種類でコントロールできるのが理想ではありますが、薬剤抵抗性てんかんでは、副作用に注意しながら3~4剤を併用することもあります。
治療の方向性について不安に思われる場合は、てんかん専門医のセカンドオピニオンを受けられるのも一つの選択肢かもしれません。

現在16歳女子 0歳で症候性点頭てんかんと診断され、現在も週に数回発作があります。 14歳からフィコンパを服用開始。 成長に伴う増量で1日に何回もあった発作は週に数回まで減りましたが、唾液量増加で食事がしにくくなっています。 フィコンパで唾液増量の事例はあるのでしょうか。教えてほしいです。
主治医に相談しましたが、フィコンパの副作用のリストに唾液分泌増加はないから関係ないと言われました。
ただ、他のお子さんもフィコンパ開始とともに唾液量増加がみられたと聞くことがあります。

フィコンパによって唾液が増えたという報告は、わずかながら見受けられます。
一般的に、抗てんかん発作薬の副作用が見られた時には、効果と副作用のバランスで、継続の可否を決定します。
副作用の方が強いと判断された場合にも、中止する他に、減量する、一時的に休薬する、副作用への治療を試みる、などの対応が考えられます。
お子さんの場合は、フィコンパによる効果が見られているとのことであり、主治医の先生と十分にご相談された上で方針を決定されるのが良いかと思われます。

2年半の間に3剤の抗てんかん発作薬の服用を試しましたが、長くて1年短くて1ヶ月ほどで発作が再発してしまいます。 そろそろ外科的治療について検討した方が良いのか、試せる薬があるならば内科的治療を優先した方が良いのでしょうか。 外科的治療を検討する場合、主治医へ外科治療に詳しい医師を紹介してほしいとお願いしても良いのでしょうか。
診断から2年半の間、抗てんかん発作薬を服用中です。
イーケプラから始め、2ヶ月程発作がなくなったがその後発作が再発しました。
容量を最大量に増やしましたが効果が出ず、ラモトリギンを追加。1ヶ月程発作がなくなるも再発し、ラモトリギンは止めました。
その後はイーケプラとマイスタンを服用し、1年程発作がおさまっていたもののまた発作が増えてきました。

てんかん診療のガイドラインでは、「適切に選択された2種類以上の抗てんかん発作薬で単独あるいは併用療法が行われていても、1年以上(もしくは治療前の発作間隔の3倍以上の期間)発作が抑制されないてんかんを薬剤治療抵抗性てんかんと分類し、外科治療適応を検討する」とされています。
外科治療の適応があるのかどうか、適応があるとすればどんな手術が良いのかを判断するために、一般的には色々な検査を受けることが必要です。
まずは主治医の先生とよくご相談ください。

現在バルプロ酸、イーケプラ、ラモトリギンを服用しています。 ラモトリギンは一緒に使う薬の種類によって、使用量の上限が異なるのですか?

ラモトリギン(商品名:ラミクタール)は、内服後、消化管から吸収され、てんかんを抑える効果を発揮した後、肝臓で代謝され、主に尿中に排泄されます。
バルプロ酸(商品名:デパケン、セレニカなど)は、ラモトリギンの代謝を抑制するため、併用していると血中濃度が高くなりすぎます。
逆に、カルバマゼピン(商品名:テグレトール)、フェニトイン(商品名:アレビアチン)、フェノバルビタール(商品名:フェノバール)、プリミドン(商品名:プリミドン)は、ラモトリギンの代謝を促進するため、血中濃度が下がりすぎてしまいます。
このことから、ラモトリギンは併用する薬の種類によって、決められた使用量の上限が異なっているのです。

抗てんかん薬の内服を開始してから、発作の頻度が増えました。発作の最中に声をだしたり暴れまわったりすることもあります。薬を変えてもらった方が良いでしょうか。

内服開始後発作症状が変化し回数も増えたということですね。内服開始後に発作が増加したり、発作症状が変化すると、抗てんかん発作薬によって発作が増えてしまったのか、実際には発作の勢いが強く抗てんかん発作薬では抑えきれていないのか、どちらの可能性もありますが、その判断はしばしば困難です。
抗てんかん発作薬の一つであるレベチラセタムでは、副作用として興奮症状が出て、てんかん発作と間違われることもあります。まず激しい症状がてんかん発作なのか、発作ではなく薬による副作用なのか、検討する必要があります。そのためにはビデオ脳波も含め主治医とご相談ください。