今回の専門家ゲストは株式会社ノーサイド、中西良介社長です。毎日の仕事終わりに欠かさず銭湯に行き、仕事の汗を流しているという中西社長。朝から晩まで忙しいというお仕事は、一体どんなことをされているか伺っていきます。
障がい福祉サービス総合福祉施設ノーサイド
妙佳 銭湯のお話もあったし、お仕事内容が気になるんですよね。すごく汗をかく、すごく動くから夜寝られるんだというこの2点のヒントをもらっているんですが、それはこの社名「株式会社ノーサイド」というところから何かヒントがあるんですか?
中西 株式会社ノーサイドという名前ですけれども、やっている仕事は障がいある子どもさん、疾患…病気のある子どもさんとかの日常生活の支援、一緒に生きることをさせてもらう会社です。元々は子どもを対象にスタートしたんですけど、会社が今年で丸10年たちまして、その子どもたちがどんどん大人になっていきますから、今は基本的に障がいを持つ子どもから大人の方までが対象となっています。あとは高齢者の方とかも支援させてもらっているので、有名な福祉の言葉で「ゆりかごから墓場まで」という言葉の通り、0歳から102歳までの方にサービスを提供しています。
中西 「株式会社ノーサイド」という名前も、ラグビーって激しいでしょう?やっている本人たちも敵味方でやっぱり腹立ったりとか「あいつ!!」とかなるんですよ。でも「ノーサイド」というのは、「敵と味方がなくなりますよ」という意味なんです。AサイドとBサイドで試合しているんですけれど、ピピピー、ゲームセットと言わないのは「AサイドもBサイドもないよ、みんな仲良くやろうね」という意味で。試合しようと思ったらすごくたくさんの人が必要なんですよ、だから試合が終わったらみんなに感謝するから「ノーサイド」です。うちは「介護する側も介護される側もないよ。だからみんなで一緒に生きていこうね」という意味でノーサイドという名前にしたんです。
妙佳 一緒に生活をしながら、それぞれの役目を果たすというような?
中西 そうです。
妙佳 10年前からこの株式会社ノーサイドを立ち上げて動き始めたということですけれども、それ以前も福祉のお仕事をされていたんですか?
中西 17年前からヘルパーをしていて、元々は支援学校の先生がラグビーの恩師で声をかけていただいたのがきっかけです。僕はヘルパーの資格を24歳の時に取っていたので、「中西、暇やろ?」と声をかけられて、その時は暇だったんですよ。そこで音楽会に手伝いに行って、子どもたちと一緒に遊ばせていただいた時から、本当に?と思うかもしれませんけれども「これがもし仕事になるんだったらこの仕事を一生しよう」と思って、嫌だと思ったこと1回もないです。
妙佳 医療的ケアが必要なお子さまを対象とした施設を株式会社ノーサイドとしては展開しているという認識で間違いないでしょうか?
中西 そうです。
医療ケアが必要な家族がいる方へのアドバイス
妙佳 施設が少なかったりとか、どういう施設に行けばいいとか、お母さん・お父さんとしてどういう行動を起こしていけばそういう施設につながるかとか、悩んでいる点や問題点があるんですけれども、そういった点で何かアドバイスをいただけますか?
中西 アドバイスはめちゃくちゃあるんです。まず基本的に必ず病院がスタートですから、病院から出る時、退院されて地元の地域に戻る時にどうつながっていくかというところがまず第1段階です。例えば医療が必要な子どもさんでしたら、病院を退院すると地元の訪問看護や地元のお医者さんとか、そういう医療系のところにまずつながると思うんです。そのためには市役所や区役所とかそういう役所とつながっていかないといけない。そこまでは病院は基本的に助けてくれると思うんです。
中西 命を守るところまでは助けてくれるんですけれども、最初から僕が言うように、僕がやりたいのは生活を一緒に進めていける、一緒に生活を生きていくことです。命のことまでは病院や市役所、区役所がしてくれるんですけど、その子がその地域で育っていくことに関しては基本的に専門的に手伝ってくれる人がいないんですよ。それがものすごくご家族…特にお母さんを苦しめると思います。
中西 0から学校に行くまでに受けられるサービス、資源が児童発達支援という障がいや疾患、病気があっても通える通所施設というのがあって、それは支援として受けられます。あとはヘルパーさんを頼むことができるので、病院について来てもらったり、例えば家のお風呂に入るのを手伝ってもらったり、そういうのも使えるところがあります。あとは少ないですけれども、家に遊びに来てくれる居宅訪問の支援であるとか、例えば保育所訪問といって、行っている保育所や幼稚園に支援員さん、専門家の方がいろいろ来てくれるような支援があるんです。ただ、その支援を受けられるかどうかは行政体によって変わるんです。
中西 その各自治体によって基準や受けられるサービスの日数、時間が変わってくるので、役所に聞かないといけないんですけれども、残念ながら福祉の制度というのは昔からずっとある制度じゃなくて…特に子どもの支援が始まったのは平成24年です。聞いている方も「ああ…」と言うかもしれませんけれども、放課後等デイサービスや児童発達支援が始まったのは平成24年4月からなので、まだできて9年しかたっていないんです。どういうことかと言いますと、行政の人たちも分からないんです。
妙佳 まだ把握し切れてないということですね。
中西 行政の方も分からないので、行政に相談に行った時にお母さんが傷つけられること、ものすごくたくさんあると思います。
妙佳 新しいことなので、まだ誰かが完璧に知っているという状態ではないということで、いろいろなところでみんなで相談しながら、そして助け合いながら浸透させていく必要があるということなんですね。
中西 そうなんです。制度というのは使うものですけれども、同時にみんなで使って育てていくものですから。だから支援で受けられるサービスを使うだけではなくて、使うことによってその支援がどんどん子どもを中心として育っていくような感じでやっていかないといけないんです。なかなかそうは言っても、それを全体的に見えている人は少ないので、もし聞いておられる方、お母さん、お父さんなどの家族の方がそうしたいと思っても「じゃあどうしたらいいの?」となってしまうというのはやはり当然ですし、そこに対してものすごく不安な気持ち、「この先どうなっていくんだろう?この子はどうやって大きくなっていくのかな?」とか「私たちは何をしてあげるのが一番いいのかな?」ということを、ずっと自問自答を繰り返してどんどん不安になっていくんですよ。そういう人たちを1人でも減らしていけるようにするためにやっているんです。
ちょっとしたことでもぜひノーサイドにアクセスを!
妙佳 「困ったな、ちょっと何か相談したいな。でも役所行くのもな…」という方は、中西さんに相談してくれと思っていいでしょうか?
中西 北海道から沖縄までどこでも基本的に法律とかに関しては日本全国一緒なので、「こういうところに行ってみたらどうですか」とか、「こういう方はいらっしゃらないですか」とか、そういうことでお話しできると思います。そうやって施設とかがない場合、特に医療的ケアのある子どもさん、例えばてんかんとかで救急搬送をすぐにしないといけない子どもの場合で、子どもたちが行く場所は非常に少ないんですよ。もう本当に少ないので、そういうところがないかもしれないんです。もし○○市から問い合わせが来てもその地域にはない、特に田舎のほうに行くとないと思います。
中西 …ないですけど、でもどこか探したら必ずつながるし、ないならないで作っていかないといけないし、そういうことでお話しできると思うので、情報についてはホームページでぺぺっと「東大阪ノーサイド」と検索いただければ。
妙佳 「東大阪ノーサイド」というふうに入れて検索をしていただいたらホームページにつながるので、そこの問い合わせ先から「nanacaraラジオ聞きました。中西さんにお話を少し聞いてもらいたいです」というような内容でお送りさせていただいてよろしいですか?
中西 「nanacaraラジオを聞きました」と送っていただいたら、すぐ僕が読むようにします。
妙佳 うれしいです。
中西 僕のほうがうれしいです。
妙佳 では皆さん、ちょっと何か聞いてもらいたいなと思ったら、遠慮なく中西さんのところに、「東大阪ノーサイド」と検索していただいて問い合わせいただけたらと思います。
中西 いつでもお待ちしております。
妙佳 ありがとうございます。本日の専門家ゲストは株式会社ノーサイドの中西さんでした、ありがとうございました。
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