
てんかんと診断されるまでの流れを教えてください

てんかんの診断および治療の開始は一般的に以下の流れで行われます。
- 問診・診察
- 検査


問診・診察ではどんなことを行いますか?

問診では以下のような発作の情報をお聞きしたり、身体的診察を行います。
頻度
誘因
症状の詳細
外傷、失禁の有無
発作後の症状
睡眠との関係
周産期歴
家族歴
など
最近ではスマートフォンの普及により、発作の様子が録画されている場合があり、患者-医療者間で視覚的に共有されるようになってきました。また、身体診察により、てんかんの原因となる体質や病気がわかる場合があります。

てんかんの検査にはどんな種類がありますか?

治療方針を決めるために、以下の精密検査を行う場合があります。検査によっては入院が必要です。以下のような検査を行うことがあります。
■血液・尿検査
てんかんの原因となる病気が体に隠れていないかをみるために、血液検査、尿検査を行います。低血糖、カルシウム不足、電解質異常の確認に加えて、染色体検査、遺伝子検査を行う場合があります。てんかんの種類によっては髄液検査をすることがあります。てんかんの薬を飲んでいる時は、副作用のチェックとして、血液検査・尿検査を行います。また、必要に応じて薬の血中濃度を確認します。調子が不安定な時は毎週することもありますが、安定している方は年に1~2回程度です。

■ビデオ脳波同時記録
発作が起きている瞬間の脳波をみるには、脳波検査を行いながら、ビデオも同時に記録し、発作のタイミングを確認することが多いです。入院で行う必要があり、半日から数日間、保護者付き添いのもと病院で過ごしてもらう必要があります。

■頭部CT-MRI
CTでは脳の構造に加え、石灰化・出血などをみることができます。MRIでは脳の構造を詳細に見ることができ、てんかんの原因がないかを探します。

■脳核医学検査(SPECT・PET)
脳の血流分布(発作の無い時、発作の時)、神経受容体の分布、糖の代謝分布などを評価し、てんかん焦点を見つけます。
■神経心理検査
知能検査や発達検査により、言語機能・認知機能・記憶力などの得意・不得意を評価します。

脳波検査でなにがわかりますか?

脳波検査は、外からはみえない脳の活動をみるてんかんの診断、治療には欠かせない検査の1つです。
診断時には、脳波を確認することで、てんかんをどの程度疑うかの判断材料の一つにしたり、てんかんの種類を診断するのに役立ちます。治療過程では、治療の効果判定や治療中止の判断材料になることがあります。


検査はどのように行われますか?

外来で行う検査と入院して行う検査があります。
■外来の場合(脳波検査)
≪目的≫
普段(発作ではないとき)の脳の活動状態を確認します。
≪時間≫
30分~1時間
≪注意事項≫
眠るお薬を使うことがあります。検査後のふらつき、転倒にご注意ください。

■入院の場合(ビデオ脳波同時記録)
≪目的≫
実際のてんかん発作(発作疑いの動作)時の脳波をビデオと同時に記録することで、てんかん発作かどうか、発作であれば発作が出現する場所とその広がりを確認します。
≪時間≫
半日~数日間
≪注意事項≫
抗てんかん薬を減らすことがあり、いつもより大きな発作が起きることがあります脳波電極を長時間皮ふにつけるため、低温やけどや皮ふのかぶれが出ることがあります。


1時間の脳波検査でてんかんが分かったのですが、全般発作なのか部分発作なのかは分かるものなのでしょうか?

1時間の脳波記録からわかることは多くあります。てんかん性突発波(=てんかん発作を起こし得る脳波異常)がどこから出ているかが推測できる場合があります。
脳の一部から(例えば、「右の前頭葉の前の方にてんかん性突発波がある」)、また脳全体から、などてんかんの種類や焦点の場所がわかる場合があります。また、てんかん性突発波の「波の形」によっては、具体的なてんかん症候群の診断に至る場合もあります。
一方、1回の脳波検査だけでは、明らかなてんかん性異常波が検出されない場合があるため、てんかんが疑われる状況では複数回検査を行うことがありますので、主治医の先生のご指示に従ってください。脳波検査についての詳細は、脳波検査をご参照ください。

服薬効果があまりないだけで、難治性と診断されるのでしょうか?
薬が中々効かず難治性てんかんと言われてますが、服薬効果があまりないだけで、難治性と診断されるのでしょうか?娘は色んなパターンの発作が出ます。

「難治性てんかん」と言われているとのことで、大変ご不安が多いのではと思います。最近では、抗てんかん薬で発作を抑制できないてんかんとして「薬剤抵抗性てんかん」との用語も出てきており、「そのてんかんに対して適切とされる抗てんかん薬を十分量を2剤試みても発作を抑制できないてんかん」と定義されています。
その場合は、専門的な診療やてんかん外科治療の検討が望ましいとも言われています。「難治性=発作抑制がずっとできない」ではありません。
こどものてんかんでは、3剤目以降が有効である可能性が大人のてんかんよりも多いと言われていますので、粘り強く効果が期待できる薬剤を試みていくことは大切です。
一方で、「脳の成長」という観点では、こどもの1年と大人の1年では大きく異なるため、てんかんの手術が妥当と判断された場合は、早くに(時には乳幼児期)手術治療を決断しなければならないこともあります。
関連として、てんかんになってから1~2年以上経過した方向けのサイト「てんかんアドバンスド」のサイトの いつてんかん外科を考えたらよいですか も参考になさってください。(専門的な内容が含まれます)

ひきつけを起こし、1分ほど白目を剥いて全身ピクピク震えるような症状がありました。 脳波検査の結果はローランドてんかんの症状とのことでした。 ただ、その後も欠伸発作に似たような動きも見られます。数秒の出来事で動画に収めることも難しいです。 次の受診までしばらく時間が空いているのですが、医師に伝えた方が良いことがあれば教えてください。
2-5歳 保育園へ通園中 脳波検査の後、寝入りばなに白目で瞬きをしたり右手だけピクピク震えたりすることが2回ありました。 初めのひきつけから2ヶ月後に、保育園から 「ぼーっとして呼びかけに反応がない時がある」と報告を受けたこともあります。保育園にいる日中に症状が出ることが多く、自宅ではあまり気になりません。

現在ローランドてんかんは、中心側頭部棘波を示す自然終息性てんかんと呼ばれています。特徴的な寝入りばなの発作症状と脳波所見からローランドてんかんと診断されたかと思います。
しかし、日中にぼーとする発作が出てくることは通常ありませんので、ローランドてんかんとしては非典型的な印象を受けます。欠神発作かどうか、外見からで判断することはときに専門医でも困難であり、ビデオ脳波検査をご提案されるかもしれません。
日中の短い発作を動画にとることは困難かと思います。ご家族、園の先生が目撃されたことがあるのであれば、医師に動きや表情などを真似をして伝えいただけるとわかりやすいです。
また、夜の発作は顔、手、足について左右のどちらがぴくぴくするか、日中のぼーとする時、呼びかけに反応するのか、手足がもぞもぞしたり、口をもぐもぐさせたりしていないか観察してお伝えするようにしてください。

生後6ヶ月で細菌性髄膜炎に罹患し、後遺症として四肢麻痺や知的障害、点頭てんかんとの診断を受けました。 抗てんかん発作薬の効果で目にみえる発作はなくなり、現在は抗てんかん発作薬を服用しておりません。ただ最近、就寝中や早朝に発作のような動きが増えてきています。発作かどうかの判断や薬服用再開の必要性は、脳波検査で決まるのでしょうか?
<発作のような動き>
・就寝中(毎晩)
急に手が上がり力が入る
目は真上を向き、口をモゴモゴさせ数秒でフッと力が抜けまた寝てしまう
・夕方から就寝時
左の手指がピクピクと痙攣のような動き(就寝するとなくなります)
・朝5時頃から昼頃
両上肢にぎゅっと力が入り数秒でフッと力が抜けるを繰り返す

入眠時または就寝中の判断に迷う動きについては、眼が開いているかどうか、その動きの後に覚醒してしまうかどうかが判断のポイントになります。
気なる動きに伴って開眼し真上を見るような場合、毎回覚醒してしまう場合は、てんかん発作の可能性が高くなります。気になる動きの動画を撮って頂くと、気になる動きの正体を考える一助となります。
ビデオ脳波同時記録検査で、気になる動きと脳波を同時に評価することが、発作かどうかの最終判断につながる場合が多いです。頻度が多い場合は、ビデオ脳波同時記録の必要性について、主治医の先生に相談してみてください。
抗てんかん発作薬をはじめとした薬剤治療の必要性については、その動きが危険を伴うかどうか、日常生活や発達に影響しているかどうか、などを総合して判断することが多いです。

現在12歳です。 薬の副作用か、発作後の反応なのか、毎朝頭痛・眠気・怠さがあります。 医師は自律神経失調症だと言いますが、親の私は娘の様子を見ているとそうは思えないのです。 最近は昼間の発作が減っていることもあり、検査も必要ないと言われるのですが本当に必要ないのでしょうか?
初めての発作10歳3ヶ月
運動亢進発作と診断され、抗てんかん発作薬を服用開始
昼間の走り出す、動く発作は抑えられているが、夜間の手足が動く、声が出る、感覚発作は継続中

起立性調節障害の好発年齢は10~16歳で、 有病率は、小学生で5%、中学生で10%と、中学生に上がる時期に発病する方も多くおられます。
一方、夜間に発作があると、睡眠が不十分となり、頭痛や眠気、倦怠感が出ることはよく経験されます。
これからの人生を考えたときに、ご本人の状態についてきちんと検査をしておきたい、というのは大切な視点であると考えます。
納得して治療を受けるためにも、てんかん専門医のセカンドオピニオンを受けられるのは1つの選択制であると思われます。