Vol18. 病院にいる子どもたちの遊びたいを叶えたい (2)

本日の専門家ゲストは2回目の登場、ホスピタルプレイスペシャリストの河本さんです。 

子どものための職業~ホスピタルプレイスペシャリストの活動は? 

妙佳 前回、ホスピタルプレイスペシャリストについてお話をしていただきましたが、本日はその続きということで、実際にHPSとして具体的な活動をお伺いしていきたいです。

河本 まずスペシャルキッズという、ハミング・オアシスの商品やサービスの生活の知恵をたくさん集めたマーケットを企画をしています。学前支援ということで、5歳児さんを対象に集めた特別支援学校、特別支援校を使わせていただいて、就学前支援というところできょうだい支援をさせていただいてます。

あとはスペシャルキッズの小旅行支援ということでキートスという活動があるんですけど、そちらにも参加させていただいてます。また居宅訪問型の児童発達支援ということで、ハチドリさんというところがあるんですけど、そちらでご自宅に行って遊びを支援したり、てんかんの交流会で遊びを支援させていただいてます。 

妙佳  HPSとしての活動で携わるのは、患者さんのお子さんだけになるんでしょうか?

河本 もちろんお子さんとその周りのご家族ときょうだいさん子どもに関わる全ての人たちのサポート、架け橋というところでしょうか。大きな課題になってるんですけど、やはりお子さんが今、抱えている恐怖や痛みや心配というのがメインになってしまうんですけど、家族を含めたトータル支援、保護者の支援、きょうだい支援というのは大切な位置付けだと思ってます。 

病気のお子様ときょうだい児さんの架け橋に 

妙佳 具体的に何か動かれているものはございますか? 

河本 例えばイベントの場合は、どうしてもやっぱり付き添いで来たり、入院とかも訪問先でもそうですけれども、きょうだいというよりは、病気や障がいを持つご本人の遊びというところでいくんですけど、そのきょうだいのためにも、きょうだいさんの年齢に応じた遊びとは合わせて持っていく形にしてます。

入院期間中でしたら、やはりきょうだいさんとお子さんをつなぐツールというか、お手紙だったりとか病院で作ったクラフトをきょうだいに届けるとか、そういった形で病院とおうちをつなぐ。おうちに訪問したり、イベント先ではきょうだいも楽しめる遊びを用意するようにしています。 

お子さん1人を見るというよりは、家庭環境もさまざまですし、HPSが一方的に思い込んだ支援にならないように、ご家族さんからの言葉に秘められた子どもへの本当の思いとか、そういったことも汲み取りながら、保護者さんと同様にきょうだいさんも不安だったり、傷ついたり、心配しながらたくさん過ごされているので、やはりきょうだい、家族というのをトータルに支援していくと、お子さん自身が元気になれるというふうに考えています。 

妙佳 どうしても当事者の方というところに集中してしまいそうですが、実はその周りの皆さん全てをケアすることによって、その子のヒーリング…癒しになる。この流れを忘れたら駄目ということですもんね。 きょうだいの方とか、保護者の方とかのケアも進めていくことで、やっぱり何か違うなと感じた体験がありますか? 

河本 今までやっぱりお母さんはすごいお子さんのことを頑張って育てて、この状況をどうにかしてあげたいと思うのはもちろん、一生懸命支えているのは分かるんですけど、やはり孤立しがちというか、だいぶ狭い状況の中にいらっしゃるので、いろんな方とコネクションを取ってくことですごい考え方だったり発想だったりとか、これからの過ごし方はすごく変わってくのかなというところで、やはり私たちは架け橋で主ではない。黒子としてお子さんと家族をつないで、家族同士をつないで、きょうだい同士をつないでという架け橋の役割ではないでしょうか。

ホスピタルプレイスペシャリストの本当の役割を考える

河本 私たちは本当にメインに出ていくわけではないし、遊びをテクニカルにして表現するわけでもないですし、本当に名前が挙がってこないところがうまく機能しているのかな。「HPSさん!」と呼ばれてるようではまだまだそこはちょっと無理で、「河本さん、来て!」と言われない状況作ることが私たちの大切なところではないかなと思ってます。 

妙佳 素晴らしいお仕事をされているなというふうに改めて思います。河本さん自身が今後もこういうことをもっと心がけて活動をして、私自身もこうなっていきたいというようなビジョンは何かございますか? 

河本 大切さことは遊ばせるのではなく、遊ばせ方でもなくて、子どもが何が好きで何をしたいと思っているか?という想像できる力が大事かなと思ってます。自分がいつも心がけているのは「主語は誰かな?」というふうなことをいつも思ってて、それはもしかして私が伝えたいことだったり、私がした遊びだったり、私が困っているんじゃないのかなと思ってて、やはり子どもは知りたいことなのか、子どもが困っていることなのか、本当に子どもはしたい遊びですか?というふうに問いかけていきたいです。

子どもの不安が和らぐように、笑顔になれるように、子どもたちのニーズに応える日々の取り組みが医療を身近なものにするんじゃないのかなというふうに思ってます。 子どもは天才なので、私たち大人が出る幕はないということです。私たちも子どもに教えてもらってる、子どもから教えてもらってる。

だから本当におもちゃとか絵本とかエッセンスで子どもの持ってる力は無限大だなと思うし、遊ぶ力もすごい大きな力だなというのは感じてます。やっぱり子どもと遊びというのは切り離せないし、もちろん学びもそうですし、子どもと遊びはもう本当に生きる力というか、イコールなんじゃないかなと思ってます。 

妙佳 ぜひこういった新しい体験があったよということがあったら、お話していただきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 

本日の専門家ゲストはホスピタルプレイスペシャリストの河本さんでした、ありがとうございました。  

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