Vol17. 病院にいる子どもたちの遊びたいを叶えたい (1)

本日の専門家ゲストはホスピタルプレイスペシャリストの河本さんです。 

ホスピタルプレイスペシャリストとは? 

妙佳 ホスピタルプレイスペシャリスト、これはどういったお仕事内容になるんでしょうか? 

河本 ホスピタルプレイスペシャリストとは、子どもにとって病院での体験が少しでも痛くない、怖くない、楽しいものになるように、子どもの目線に立って、遊びを使って病気の子どもと障がいのある子どもをサポートする役割を持った医療の専門職です。

妙佳 病院やクリニックに常駐してるんですか?

河本 HPSというだけで働いている方は、採用枠としては大きな病院だけなので難しいと思うんですが、バックグラウンドとしてはこのホスピタルプレイを日本で受講する場合は保育士だったり、看護師だったりという子どもに携わった方が、さらに受講して病気の子どもをサポートするという資格なんです。 

その歴史はイギリスが発祥で、1950年代にできた資格ではあるんです。やっぱり入院がもたらす子どもに与える影響を明確化して、子どもの情緒面に焦点を当てて仕事するべきだというところが発端で、病院における遊びを用いた支援計画が開始して、さらに職業として遊びに関わる仕事が誕生という形になってるんです。

妙佳 河本さんは元々子どもに携わるお仕事をされていて、このHPSの資格を取られた感じですか?  

河本 そうですね。元々は看護師として病院に勤めてました。   

妙佳 看護師さんで+αでHPSの資格を取られて活動の幅が広がっているというようなことで間違いないでしょうか。

河本 はい、そうです。 

海外での経験で気づけた ホスピタルプレイスペシャリストとの出会い 

妙佳 このHPSの資格を取ろうと思ったきっかけは何かあったんでしょうか?

河本 実は海外に住む経験がありまして、そこでは子どもを2人出産して育てるという期間があったんです。我が息子が入院するきっかけがあったので、その病院でまず入院した時に、医療者でないスタッフで子どものケアをしてくださる方がいて、「一体この人は誰なんだろう?」というところから始まって、もちろん子どもにすごくフォーカスした病院のつくりでもあったし、子どもに選択肢を与えていただけている。

子どもが入院期間をスムーズに過ごせることを見て、自分はずっと日本で医療者として看護師として働いていた身としてすごく衝撃を受けて、そのまま日本に帰ってきて今度は日本で医療を受けるわけです。  

ちょっと入院するんですけれども、まずびっくりするわけですよ。その当時20年前の日本の医療の現実といったらまだまだ子どもが遊ぶおもちゃもなくて、遊べる環境とは程遠い。入院制限もあったりして本当に3時ぐらいにしか行けなくて、付き添いというところも難しかったり、ベッドに残されたおもちゃがそのまま残ってて、ずっと来るのを待ってたんだろうな、遊んだ様子もないと気付いて「もうどうにかこの環境を変えたい。どうしたらできるんだろう」と思った時に、その病院で当時、遊びのボランティアをされてる団体があって、それがきょうだいを支援をされてる団体と一緒ですけど、※清田さん(0:07:42)という方と出会って、その方の病院で遊ぶボランティアを募集されてたので、そこに早速エントリーして、それが大阪市総合医療センターになって※岡崎先生(0:07:56)とのつながりにもなってくということですけど、そこで遊びを活動するというボランティアに参加させていただいて、HPSの存在を知ったんです。 

妙佳  20年前の海外のその経験がないと、早急に動くことができなかった可能性もあるということですよね。 

河本 そうですね。知らなかったら日本での受けてる医療とか、日本での現状がスタンダードだと思うので、それが当たり前だと思って母として接していたと思うんですけど、あまりにも違いがあったので、「これはおかしい」というところから始まったと思います。

妙佳  ちなみに息子さんが入院した国は聞いても差し支えないですか? 

河本 アメリカのデトロイト、ミシガン州になります。ドネーションという寄付の文化があるので病院に大きな投資があるというか、大きな企業からの協賛があるので、当時、息子が入院してた病院はセサミストリートのファンニングが入ってたと思うので、エントランスにビッグバードがいたり、本当に部屋にたくさんの楽しめる遊びにアクセスできるものがたくさんあったんです。やっぱりそこが大きな違いなのかなと思います。

妙佳 実際に資格を取られたのは、何年前ぐらいになられるんですか? 

河本 10年前になりますね。 

妙佳 10年間、看護師さんとHPSとしての活動をも並行してやられているということでしょうか?

河本 そうです。10年活動しているといっても、やっぱり子育てしながらというところなので実際のHPSとしての活動というとなかなか難しいところもあるんですけども、その分、我が子たちに教えてもらってきたところは多かったです。

やっぱり子どものニーズは子どもがよく知ってるということなので、子どものニーズに即した遊びというのを創造していく、そこが大事かなと思いながらHPSの活動をしてるんですけども、安心感を得たり、感情を吐き出したり、苦痛を和らげたり、医療への理解を深めたり、病院でも子どもは遊びを通してさまざまな力を発揮していると思うんです。

その遊びの種類にも1人1人の子どもに合わせて必要な時に必要な分だけ適切な遊びをアレンジできたらいいなと思いながら活動してます。 

病院にいる子どもたちの遊びたいを叶えたい 

河本 具体的にHPSは何するのか?というと、検査とか処置に入るプレパレーションという心の用意とか覚悟とか心構えをするのが1つあるんです。やっぱり遊びを使って心の準備をするのは、人形使って採血のシーンをイメージしてもらったり、絵本を使って学ぶ。

それをプレパレーションというんですけども、そういった準備をしたり、処置中にディストラクションといって気を散らしたり、治療を乗り越えられるように、ちょっと変わった音が出るおもちゃとかちょっとお母さんがそばにいたりとか、なかなか言葉で説明することはできないですけど、そういったことをやっています。 

初めて見るものとか初めて会う人とか、見慣れない機械とか道具とか新しい体験、そんなところで子どもは医療に出会うので、やっぱりどんなところに行くのか、どんな人に出会うのかを前もって知っていくだけで作戦を立てたり、予行練習できたり、それも子どもの余計な緊張や興奮を和らげられるようなサポートができるのではないかと思っています。  

妙佳 ありがとうございます。まだまだ聞き足りないと皆さんも思われていますし、私自身も思いますので、ぜひ河本さんには来週も引き続きご出演いただきたいと思います。

本日の専門家ゲストはホスピタルプレイスペシャリストの河本さんでした、ありがとうございました。 

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