Vol16. 小児青年てんかん勉強と交流の会「OHANA」~パパさんの参加について~(2)

今回は前回に引き続きOHANA代表の清水先生をゲストに「OHANA応援企画」と題して、2021年6月に行われたOHANAとコラボした内容です。  

OHANAの活動の中で印象に残ったこと 

ゆかち 前回に続きまして、ゲストは清水政彦先生です、よろしくお願いいたします。 前回の続きではありますが、グループ内で印象深かった話を覚えていらっしゃる限りで教えていただけますか? 

清水 本当にどういう学校を選ぶかとか、それからどういうデイサービスに行くか、あるいは食事をどうしてるんだとかも本当にさまざまなテーマで交流してきたんですけれども、やはり一番はどの学校…特に保育所時代から小学校に行く時に支援学校に行くのか、支援学級に行くのか、普通学級に行くのか。皆さんはやっぱりそこの関心が非常に高くて、学校の先生にも参加していただきながら、割と建設的なアドバイスとかももらえたのが印象として一番多かったです。 

ゆかち 先生も参加してくださるんですか? 

清水 そうです。支援学校、支援学級の良いところ、悪いところはそれぞれあるので、どっちが一方的に良いというわけではありません。だからママさん・パパさんたちのニーズに応えられるのがどっち?みたいな話ができるので、実際に先生に参加していただいて良かったんじゃないかなと思ってます。

ゆかち ちなみに学校の先生以外にはどういった方が参加されているんですか?

清水 他は保育士さん、それからケースワーカーさんとか、それからヘルパーさんとかもいますし、それからOT、STと呼ばれる作業療法や言語療法の先生たちも参加していただいています。 

ゆかち リハビリの先生も参加されているんですか?

清水 本当に多種多様な方がいますよ。

ゆかち すごい。ここに来れば本当にいろんなお話が聞けそうですね。

清水 ちょうど自分たちが子育てした時に関わってくれた人たちに声をかけて、「同じアドバイスを他のママ・パパにもやってあげてよ」ということで来てもらっているので、いろんなニーズには応えられるとは思います。

ゆかち OHANAが終わって後日、参加者さんから何か感想を聞くことはありますか?

清水 アンケートやメールで感想を募集したりします。一番僕たちがやって良かったと思うのは「ひとりぼっちじゃないと分かった」とか「同じ悩みの人たちが自分の地域にはいないけれども、この同じ大阪、兵庫、滋賀、奈良にいるんだっていうのが分かっただけでも良かった」というようなコメントをいただくことが一番こういう活動をやってよかったなと思える機会です。 

ゆかち 本当にそこは大事だと思います。私も息子がてんかん児ですけれども、結構ふさぎ込んじゃって周りに聞けばいいのになかなか聞く1歩が出ないことがあるので、そういう交流会に参加するといろんなお話も聞けるし、自分も勉強になるし、またそれがアドバイスできる立場につながりますよね。 

清水 僕たちも最初にいろいろ周囲の人に聞いた時に、「そんな発作の子、いないよ?」とか「見たことがない」とかいうのはもう嫌というほど聞いたんですよね。でももっと視野を大きく取ってみると、「そういえば何年か前に見たな」とか「友達の友達がこんなこと言ってた」とか、意外とつながっていくものだというのが分かったので、自分の周囲にはいなくても、「それをテーマに1回連絡を取ってみるわ」と言って、自分たちで歩き始めてくれるのが一番大事だと思うので、そのきっかけづくりになればと思ってます。

OHANAを通して見えてきた課題 

ゆかち  次回のOHANAですけれども、今月の27日の日曜日に予定してるんですよね。日が迫ってきましたが、今回はどんな内容になってるんですか?

清水 世話人の間ではパパの参加率が悪いということでもっとパパを引き込みたいという要望がありまして、世話人の中では僕の他にもう1名男性がいらっしゃるんですけども、私とその男性がちょっとサンドバッグ状態になって「パパの参加が低いことについて討論」みたいになりそうなんですけども…怖いですけどね。 

ゆかち サンドバッグはちょっと想像するだけでも怖いですけど、パパがどうやったら来るか?ということですね。 先ほど私がリスナーの皆さんよりもいち早く「パパさんが参加しやすいOHANA」がテーマだと聞いたんですけども、今までもママとパパの参加者は圧倒的にママが多い。さらに前回You Tubeで配信したパープルデー大阪というイベントがあって、こちらのほうも何と8割近くが女性の参加ということをお聞きしました。さらにてんかんアプリnanacala、こちらも登録されているのは8:2でママのほうが多いと聞いたんですけども、そちらについてはどうですか? 

清水 OHANAの参加も9:1でママが多いです。でもサポーターやボランティアでママ・パパをサポートしてくれるところでは、実は男性陣が4割ぐらいいるんですよ。ところが当事者たちは9:1でママのほうが圧倒的。正直に言うとパパは少ないというふうには感じてます。 

ゆかち 何でパパの参加が少ないんですかね? 

清水 決して興味がないわけではないと思うんです。確かに一定数は関わりたくないというパパがいることも確かだと思うんですけれども、どちらかというと気にはなってるけれども、敷居が高いという印象を与えてしまっていると思います。OHANAを見ててもそうですけど、やはりどうしても普段子どもと関わってるママのほうが圧倒的に情報は多いし、困りごとも抱えてるし、興味もある。

あの勢いでゴリゴリ交流されてしまうと、パパたちは外で待ってるしかないというか、話題についていけない状態になってしまってると思うんです。 だからそれはパパも参加と言いながら、OHANAの反省点でもあって、ママが困ってることにパパがどう入り込んでいくか?みたいなことはきっかけを作っていかないといけないなというふうには思ってます。

ゆかち グループでお話しされるじゃないですか。ママが多い中でパパが発言されることはありますか? 

清水 順番に発言してもらうので、パパが当てられることもあるんです。そうするとママたちが「今そんなこと言ってるの?」みたいな視線がやっぱりありますからね。だからそこをパパたちも気にせず話せる機会をどう作るかはファシリテーターが考えないといけない課題だと思っています。

ゆかち ママとパパの比率でいったら、例えば病院だと外来であったり、入院であったりをうちもよくするんですけど、結構見るのはママと一緒に外来に来てたり、入院中もずっと付き添いはママだったりということが多いんです。清水さんは先生の立場ではなくて、次はお父さんの立場でどうでしょうか? 

清水 僕の中ではどれぐらいかな…?7:3さんぐらいでついていってるつもりですけど、ママからしたら多分3:7でついてきてるぐらいに思ってるんだと思いますね。どうしても認識はずれると思います。 ただ、なぜ病院に行きにくいの?となると、例えば病院が月1回ですので、会社の中で取り仕切っている男性陣はそういうのからは程遠い位置にいる男性陣がやっぱり多くて、毎回「月1回通院なんです」と言うと、またか?みたいな顔が表情に出るんですよね。そうしたら会社でゴリゴリ仕事人間としてやってる男性人たちからすると、「そんな毎回参加しなくてもいいんじゃないの?あなたの大事なことは仕事でしょう?」というのがやっぱり多少ある、日本の社会だと特にそういうのを感じます。 

それから実際に病院に行ってみると、やはりママさんたちが多くて、そこにパパが座ると「どうしたん?」みたいな顔で見られちゃう。実際にそういうところもあるので、特にてんかんだと小さな子どもたちが多かったり、それから荷物もすごく多かったりするので、てんかんのママたちからしたらついてきてくれて当然、ついてきてくれて助かるみたいなのでしょうけど、他の科に来てるママさんたちからしたら、「あそこはお父さんがついてくるんだ!」みたいな、そんな視線も感じてしまうので、パパたちも同性ながら大変だろうなとは思ってます。 

ゆかち 周りの視線やその周りの意見も大事ということで、もうちょっと周りの皆さんも例えば看護師さんとかママとかも「パパが来てくれている」ではなくて、「パパがいて当たり前」ぐらいの気持ちで構えてくれたら、もうちょっとパパたちも行きやすくなりますよね。 

清水 本当はそれが普通だと思うんですけど、僕の経験から言うと、保育所に送迎とか行ってた時も「清水さんのところはパパも来てくれるんですね」とか言われちゃうとものすごく恥ずかしいというか、ちょっといじられたくないなというか…いじってるつもりはないんでしょうけどね。

ゆかち 保育士さん的にはうれしいんでしょうね。 

清水 でも、「パパも来てくれるんだ」とか、「パパが来てくれたから何か一緒にちょっと遊んでいってもらおう」とか言われると、「もう早く帰りたい…」とか「抜け出したい…」みたいなネガティブな気持ちになっちゃうので、パパのちょっと恥ずかしい部分とか、パパがママさんの世界に入っていくのに多少緊張するという気持ちを分かってもらえたら、もう少し参加率が上がるというか、敷居が低くなるのにな~って感じることはあります。

ゆかち 私もママとして、その辺りは気を付けていきたいと思います。 

清水 本来はママとかパパとかじゃなくて、本当に両方が来て当然なんだろうと思うんですけどね。

ゆかち 自分の子どもですからね。今回はいろいろお話しいただきましたけども、全部公表するわけにはいかないと思いますが、今回のOHANAの会について言える範囲でポイントを教えていただけますか? 

清水 テーマは当然、医療センターの先生に「パパにやってほしいこと」というテーマでもしゃべってもらう依頼をしてますし、恐らくそういうところでテーマを1時間しゃべっていただけるんだと思います。それを受けて、世話人から男性陣が出てきて、自分たちがどういうふうに参加したのか、逆に会社の中ではどうやって困ったんだとか、それからパートナーとけんかしたことであるとかいうのも言える範囲で全部オープンにして、他のママさん、パパさんたちの参考になればなというふうに考えてます。

ゆかち それでは今月6月27日、今回はWEB開催なんですね?

清水 そうですね。去年と今年はもうWEBになっています。2016年から始まったOHANAですけれども、最初は全部対面でやってたんですけども、今年と去年はWEBで開催していますがしっかり雰囲気は出るというふうに思っています。

ゆかち WEB開催だったら、パパさんたちもこれを機に参加しやすいかもしれないですよね。 

清水 そうですよね、聞いていただきたいですよね。 

パパさんたちへメッセージ 

ゆかち 最後にパパさんにメッセージいただけますか?  

清水 元々OHANAは家族を引き離さないように、てんかんの勉強するにも家族を分割せずに、「家族ごと勉強においで」、「きょうだいを連れておいで」というのがテーマなので、ぜひパパさんも分離されずに参加いただけたらなというふうに思います。

ゆかち ありがとうございました。今回もあっという間に閉店のお時間が来てしまいました。でも、まだまだ清水先生にはお話を十分聞けていないと思うので、リスナーの皆さまもぜひOHANAに参加してお話を聞いていただければと思います。

清水先生2回連続でのご来店、誠にありがとうございます。OHANAの活動を頑張ってください。

 

今回のnanacaraラジオの内容をYoutubeでも聴けます!

この記事を書いた人