Vol12. 知ることで守れるこどものいのち

本日のママさんゲストは大阪在住のせいママさんです。

知ることで守れるこどものいのち

妙佳 息子さんは今おいくつですか?

せいママ 息子は今17歳でこの春から大阪市内にある支援学校の高等部3年生になります。診断としては、難治性のてんかんで、タイプ的にはレノックス・ガストーに似てるような症状というふんわりした診断をいただいています。ちょうど今から3年ぐらい前にてんかんの発作のタイプが少し変わり症状が強くなってきたので、ぎりぎりできる年齢で外科的な脳梁離断手術をしました。そのおかげで少し発作の強さは収まって、今は小さい短い硬直発作が1日何回か出ながらですけど、元気に学校に通えています。

息子は生後5か月の時に細菌性髄膜炎という感染症にかかりました。生死をさまよって、命は助かったけれども後遺症が残り、てんかんがメインの後遺症ではありますが、てんかん、難聴、水痘しょうなど、いろいろな後遺症が残ってしまいました。生まれて5カ月くらいまではすくすく普通に大きくなっていたんですけども、生後5カ月の時に急に発熱があって、ぐったりして何か分からないので病院に駆け込んだら「細菌性髄膜炎です。ICUに入りましょう」とか、いきなりそんな感じでした。

今はコロナで感染症のことにすごくスポットが当たってますけど、「感染症はすごく怖いんだ」と息子の体験で思ったのが一番最初です。脳のすぐそばまで細菌とかウイルスが入って引き起こされるのが髄膜炎という病気ですけれども、小児科の先生曰く、「乳幼児のかかわる感染症の中で最も恐ろしい感染症だ」と言われるぐらい、命にかかわる病気です。今は小さなお子さんを持っているお母さんたちはヒブワクチンとか肺炎球菌ワクチンというワクチンの名前を聞いたことはあるかと思うんですけど、息子が髄膜炎にかかった当時、日本ではワクチンを使えませんでした、承認されていなかったんです。

でも私は息子がかかった当時そのこと全く知らなくて、家に帰ってきて、何とか前を向いてこの子を育てていこうと思った時に新聞記事を見ちゃったんですよね。「細菌性髄膜炎はワクチンで防げる」と書いてあって、「えっ!?」と思ってインタビューされていた先生のところに、その新聞記事を握りしめて「先生ここに書いてあることホンマですか?」とかいう感じで押しかけてしまいました。

妙佳 先生は何とおっしゃったんですか?

せいママ 「実はそうなんだよね。日本では残念ながらワクチンはまだ承認されていない」ということをお話しになって、その時はもう半泣きで帰ってきたんですけど、家に帰ってきてから、「何で日本の子どもたちは使えなくて世界では標準的なワクチンとして予防できている。なんでやねん!」と思ってしまいました。

未来のこどもたちを救いたい せいママの想い

せいママ その後ワクチンを日本でも何とか導入してほしいというふうに思うようになって、うちの息子には間に合わなかったけど、そういう病気があることもまず知らず、防げるということも皆さん知らずに、そういう病気で亡くなっていく子や、うちの子みたいに後遺症を抱えてしまう子がいるとことが納得できなくてで、何かできへんやろうか?といろいろ考えて「署名ぐらいだったら集められるかもしれん」と思ったのが一番最初のきっかけです。

妙佳 それが何年ですか?

せいママ それがちょうど2006年だから15年前ですね。 もう1度押しかけた先生のところに行って「署名活動してみたいです」と言ったら、「ぜひ!」と言ってすごく賛同してくださって、きっかけはそういう小児科の先生たちが応援してくれる形でこの活動を始まりました。でも、そこからは一筋縄ではいかなくて、承認されて定期接種になるまで、なんと7年もかかってしまいました。

子どもが細菌性髄膜炎になる数はその当時でも全体で1,000人といわれるぐらいでそんなに多い患者数ではなかったんですけど、それでも確実に救える命はそこにもあると思っています。細菌性髄膜炎の原因になる菌は肺炎球菌だけではなくて他にもたくさんあります。新生児期にかかりやすいBBS、大腸菌、リステリア菌とか本当に挙げていくとたくさんあるんですけども、ワクチンがあるのにまだ定期接種にもなってないし、すごく高くて皆さんに知られていない髄膜炎菌という菌もありまして、そういうのをちゃんと啓発して、皆さんに知ってもらって、きちっと予防してもらいたい。数は少なくても、もっともっと未来にはきちんとワクチンは公費で打てるような体制づくりをしていってもらわないといけないと思って、細々ですけど、定期接種の後もずっと活動を続けています。

その当時、ヒブワクチンとか肺炎球菌ワクチンのことをしてくれたお母さんたちの子どもさんはもう大きくなって、次に新しく生まれてきたお子さんたちのお母さんたちは「細菌性髄膜炎って何?」というところからで、やはり私たちの時と同じように知らないと思うので、そのことをお伝えする活動をずっと行ってます。

伝えるために…世界髄膜炎デー

妙佳 世界髄膜炎デーというのがあるんですよね。

せいママ 4月24日が世界髄膜炎デーです。毎年、私たちの会で啓発イベントを行っています。髄膜炎でといっても髄膜炎の病気に関連のある方しか興味を持っていただけないのはよくないなので、「知ることで守れる子どもの命と笑顔」というタイトルで毎年イベントを開催しています。

知ってもらうことで、ワクチンで予防するだけではなく、その病気にいち早く気付いて、いち早く医療機関に駆け込んでいただけるとか、そういう早期発見にもつなげていただけると思うので、そして私たちが活動している細菌性髄膜炎だけではなくて、他にも知ってたことで救える命はたくさんあると思うんですよ。病気も事故でもそういったことでもあると思うので、私たちの団体だけではなくて、私たち以外にも18団体の皆さんと一緒にメッセージを発信させていただくイベントになっています。

妙佳 今年は4月25日の日曜日にあべのハルカスであるようですね。(※2021年)

せいママ 近鉄百貨店さんのご協力を得まして会場をお借しいただけることになりました。ただ、残念ながら今は皆さんご存じのようにコロナがまた感染拡大を始めていますので、リアルの会場でのイベント展示をはじめ、オンラインでセミナー配信、それから私たちの防げる病気や事故、それから子どもたちの笑顔を守るために皆さんにメッセージ動画を発信していただきます。

妙佳 こちらのイベントをもっと詳しく知りたいという方は、検索ワードとしては?

せいママ 「知ることで守れる子どもの命と笑顔」、ちょっと長いですけれど、「知ることで守れる子ども」まで入れてくれたらたぶん出てくると思います。

妙佳 分かりました。「知ることで守れる子ども」ここまでを入れていただけたら、Facebookページのページに飛んでより詳しく見ていただけます。

せいママ このコロナ禍の感染症の中で皆さん本当に不安な思いをされている中だからこそ、正しく感染症のことを知ってほしいですし、コロナだけではない感染症のこと、それからお子さんを守るために必要な情報をぜひ得てほしいなと思います、よろしくお願いします。

妙佳 今日は本当に貴重なお話を聞かせていただいてありがとうございました。本日のママさんゲストはせいママさんでした、ありがとうございました。

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