質問者

何年発作がなければてんかんが治ったと言えるのでしょうか?その後再発することはあるのでしょうか?

ふくろう先生

てんかん治療の終結については一定の指針があります。しかし「治癒した」と断定することはなかなか難しいですが、てんかんのある患者さんの多くで治療を必要としない状態となります。  

てんかん学会によるてんかん診療ガイドライン2018には、「てんかん治療の終結」に関する項目が取り上げられています。 

と記載されています。こどものてんかんには、「自然終息性てんかん(ある一定年齢を超えると発作が生じにくくなるてんかん)」というてんかんのグループがあります。その場合は治療(抗てんかん発作薬を内服すること)が終了しても発作が再発しにくいことがわかっています。また、てんかん外科治療を行い、てんかんの原因となる場所が完全に切除(離断)されている場合も、治療終結に向かえる可能性が高いです。

てんかんの治癒に関しては、2014年に出された有名な論文があります。そこには、「年齢依存性てんかん症候群であったが現在はその好発年齢を過ぎている人、過去 10 年間無発作状態が持続し過去 5 年間に抗てんかん発作薬を服用していない人ついては,“てんかんは消失した”と診断することに決定した。」と記載されています。 

 「治癒」と表現することは、「今後てんかん発作が生じる可能性が、てんかんのない方と同じレベル」を意味しますので、なかなか「治癒した」と言い切ることは難しいのが現状で、「今後てんかんが生じないことを保証するものではない」という点も記載されています。  

抗てんかん発作薬はもちろんきっちり内服することが大切ですが、いろいろな副作用や認知・行動面に対する影響もなくはないため、治療終結できることは大変意義深いです。すでに発作が生じる可能性が高くない状態であるにもかかわらず、「念のため」「とりあえず」ということで、漫然とお薬(抗てんかん発作薬)をつづけることはよくないことです。もちろん主治医の先生に相談なく勝手にやめることはもっとよくありません。いずれにせよ主治医の先生と、しっかりと情報を共有して、判断していく必要がありますね。