けいれんの発作がおきました。どのような対応をすればよいのでしょうか?
対応にはいくつかの注意点(発作中にできればやっておきたいこと、絶対にしてはいけないこと)があります。
1. 発作中にできればやっておきたいこと
発作時に冷静に動画を撮影するのはなかなか難しいかと思いますが、できれば以下のようなポイントをおさえてもらえると、より正確に多くの情報が伝わると思います。
特に注目してほしいポイントは、大きく以下の3つに分けられます。最も重要なものは1です。睡眠中や本人のそばにいない場合は、1から観察が困難な場合が少なくありませんが、2や3ももちろん重要な情報です。
1.まずは落ち着く
お子さんの発作を目撃すると、ほとんどの方が慌ててしまうと思いますが、まずは自分を落ち着かせるように努力してください。
2.安全を確保する
- 危険物は遠ざける
- 頭の下にクッションをおく
- メガネ、ヘアピンなど、怪我をする危険のあるものを外す
など
3.楽な姿勢にする
- 衣服を緩める
- メガネをはずす
など
4.発作を観察する
記憶・記載(メモ)・記録(動画)で発作の様子を残してください。スマートフォンなどでの動画の記録は、何度も繰り返し見ることができ、医療者が重視している発作の症状に注目して見直すことができます。
発作を冷静に観察するのは難しいことですが、医療者が発作を目撃することができるケースは非常に少なく、発作時に介助した方の目撃情報が診断・治療に直結する場合があるので大変重要です。
5.発作直後の対応
- 吐物で窒息しないよう、顔を横に向け、図のような姿勢で横にする。
- もうろう状態となることがあるので、しばらく見守る。
- 眠ってしまったときはそのまま寝かせておく。
- 普段通りに戻るまで目を離さない。
2. 絶対にしてはいけないこと
口の中のものをかき出さない!
指をかまれることがあります。前傾姿勢や顔を横に向けることで、窒息を回避できます。
口に物を入れない!
口の中や歯を傷つけたり、窒息したりすることがあります。
意識が回復する前に、口から薬や水分などをとらせない!
誤嚥(食べ物が気管に入ってしまうこと)することがあります。
体を揺さぶらない!
意識がないときに無理に揺さぶるとケガをすることがあります。
発作時、何をどのように記録したらいいですか?
記憶・記載(メモ)・記録(動画)で発作の様子を残してください。スマートフォンなどでの動画の記録は、何度も繰り返し見ることができ、医療者が重視している発作の症状に注目して見直すことができます。
特に注目してほしいポイントは、大きく以下の3つに分けられます。最も重要なものは1です。睡眠中や本人のそばにいない場合は、1から観察が困難な場合が少なくありませんが、2や3ももちろん重要な情報です。
1. 発作の始まり
発作が始まったときの状態(観察者は「何で気づいたか?」が重要)
例)つばをぺちゃぺちゃさせるような音で気付いた
例)急に話が止まっておかしいなと思った
など
2. 発作の経過
「発作がどのように変化・進展したか」(部位:目は、顔は、手は、足は、からだの動き、左右差、表情・顔色など)や、「発作がどのくらいの時間続いたか」
余裕があるときは、手足の関節が容易に曲げ伸ばしできるか、話しかけて反応があるかチェックしてください。
3. 発作後の様子
「発作が落ち着いたときの状態」(言葉がでにくい、麻痺の部位、もうろうとしていた など)
話しかけて反応があるかチェックしてください。
動画撮影時のポイント
発作時に冷静に動画を撮影するのはなかなか難しいかと思いますが、できれば以下のようなポイントをおさえてもらえると、より正確に多くの情報が伝わると思います。特に注目してほしいポイントは、大きく以下の3つに分けられます。最も重要なものは1です。睡眠中や本人のそばにいない場合は、1から観察が困難な場合が少なくありませんが、2や3ももちろん重要な情報です。
- 全体像(頭のてっぺんから足の先まで)を正面から撮る
自分が注目してほしいところ(白目をむいている顔、ガクガクしている右手など)をアップにして撮影しがちですが、それ以外の部分の情報が大切である場合もあります。頭のてっぺんから足の先まで、全身が映るように撮影してください。最近は動画の解像度も上がっているので、全体像さえあれば、あとで細かい部分まで観察できることが多いです。 - できるだけお子さんとカメラの間にさえぎるものが無いようにする
布団をかぶっていたりして体の一部が見えないと、発作の把握に大切な情報(足にも力が入っていたかなど)が分からないことがあります。撮影の際には布団をめくるなど、できるだけお子さんとカメラの間に遮るものがないようにしましょう。 - できるだけ画面が揺れないようにする
撮影時には、ある程度画面を固定した状態のほうが見やすいですね。
患者さんによって注目してほしいところが異なる場合もあるので(例えば、目の向き、左右の手、など)、前もって主治医の先生に確認しているとよりよいですね。
動画撮影には、患者ご家族とてんかん専門医の声から生まれたアプリ
“nanacara” もぜひご活用ください。
発作が起きたら救急車を呼んでもいいですか?
通常、「けいれん」「ひきつけ」など発作は数分以内におさまり、ほとんどの発作は救急の医療処置を必要としません。
しかし、以下のような場合は、救急対応が必要な可能性がありますので、救急車を呼んでください。
- 5分たっても、全身のけいれん発作がおさまる気配がない場合
- 発作が頻発する(意識が回復しないうちに次の発作がおこる)場合
- 顔色が悪く、呼吸が不規則な状態が続く場合
- 頭部打撲後に意識がない、怪我による出血が止まらない場合
- 不安でどうして良いか分からない場合
「発作はすでに〇分以上で止まる気配がありません。救急搬送お願いします」と要点を伝えて下さい。搬送時に、病気の状況やかかっている病院を救急隊へ伝えましょう。